位置偽装と VPN、どちらを選ぶか
サービスに別の場所を見せたい人へのアドバイスで最も多いのは「VPN を使えばいい」です。半分はうまくいきません。VPN と位置偽装は別のものを変えるからです。前者はネットワークのアドレスを、後者はスマートフォンがアプリに渡す座標を変えます。以下では、それぞれの場合にアプリから何が見えるのか、一方が他方の代わりにならない理由、どちらが必要かの見分け方を説明します。
短い答え
VPN は IP アドレスを変えます。通信が別の国のサーバーを経由し、ネットワークから判断されるものはすべて、あなたのアドレスではなくそのサーバーのアドレスを見るようになります。座標は本物のままで、スマートフォンの地図は引き続き実際にいる場所を表示します。
位置偽装は座標を変えます。アプリは Android にテスト用の位置情報源として登録し、システムは「ユーザーはどこにいるか」を尋ねるすべてのアプリに選んだ地点を渡します。IP アドレスはまったく変わりません。
ですから「どちらが良いか」という問いには意味がありません。正しい問いは、そのサービスがどんな手がかりであなたの居場所を判断しているか、です。

アプリはどこから位置を知るのか
経路は 4 つあり、それぞれ振る舞いが異なります。
GNSS 衛星、周辺の Wi-Fi、携帯基地局はスマートフォン自身が処理し、その結果がシステムの位置情報インターフェースを通じてアプリに渡されます。偽装はこの経路で届くものをすべて置き換えます。アプリは選んだ地点を受け取り、フラグ(後述)以外ではその出どころを見分けられません。
IP アドレスはアプリが自分で調べます。位置情報のシステムを経由せず、ネットワーク接続から取得します。座標を偽装するアプリはどれもこれに影響せず、役立つのは VPN だけです。

VPN が必要なとき
サービスがネットワークから地域を判断する場合です。国によって異なるコンテンツを表示するウェブサイト、あなたを海外からの訪問者として扱うサービス、位置情報へのアクセスがまったくないアプリ(権限が許可されていなければ、残るのは IP だけです)などです。
見分け方は簡単です。サービスがブラウザで動いていて、位置情報の許可を求めてこないなら、ほぼ確実に IP を見ています。
位置偽装が必要なとき
アプリが位置情報へのアクセスを求め、あなたを地図上の点として表示する場合です。地図とナビ、天気、周辺検索、配達、さまざまな住所でのアプリのテストは、どれも座標を使っており、VPN は影響しません。
確認は数秒で済みます。アプリを開いて、地図にあなたが表示されるか見てください。表示されれば、そのアプリは座標を使っています。
両方が必要なとき
サービスが両者を照合する場合です。座標と IP による地域を照合し、食い違いを疑わしいとみなすアプリがあります。モスクワの地点なのにプロバイダーのアドレスが別の国だと不自然に見え、その逆も同様です。その場合に役立つのは整合性のとれた状態だけで、目的の国のサーバーの VPN と、同じ地域の座標を組み合わせます。
これは保証ではありません。サービスは仮の情報源のフラグを含め、ほかの手がかりも自由に見ることができます。
どちらにもできないこと
Android は、テスト用のプロバイダーからの座標に「仮の情報源から」というフラグを付け、どのアプリもそれを読み取れます。銀行、配達、企業の勤怠管理のシステムはまさにそうしており、VPN をいくつ重ねても偽装は見えています。Mock Location はこのフラグを隠しません。その理由はこちら。
一方、VPN はスマートフォンの機種、システムの言語、タイムゾーン、ログインしているアカウントを隠しません。サービスがあなたの居場所を推測するには、たいていそれで十分です。
冷静な結論:どちらのツールも特定の課題(ネットワークによる地域と、アプリの座標)を解決するもので、どちらもあなたを見えなくするものではありません。
実際に何が変わるかを確かめる方法
最も簡単なのは、両方を別々に測ることです。IP を確認するサービスなら、どれでもアドレスと国が表示されます。VPN をオンにして、それらが変わったことを確認してください。ブラウザの位置情報の確認ページには座標が表示されます。偽装をオンにして、選んだ地点と比べてください。
座標の詳しい確認手順は 偽装が動いているか確かめる方法 のガイドにあります。